01.台所の道具

すり鉢は一人暮らしで使える?

すり鉢は一人暮らしで使える?

一人暮らしのキッチンで、すり鉢を使ったことはありますか。

おばあちゃんの家にあったような昔ながらのすり鉢は、なんとなく「和食向けの道具」「場所を取りそう」というイメージがあるかもしれません。

でも実は、少量の調理が多い一人暮らしのキッチンにこそ、すり鉢は意外と使いやすい道具です。

電源もいらず、音も静かで、器としてもそのまま使えるすり鉢は、現代の暮らしでも十分に活躍してくれます。

この記事では、すり鉢の選び方から具体的な使い方、お手入れのコツ、向いている人・向いていない人まで、一人暮らしの暮らしに取り入れやすい視点でお伝えします。

すり鉢ってどんな道具?

すり鉢は、内側に細かい溝が刻まれた鉢状の道具です。

この溝のことを「櫛目(くしめ)」と呼び、すりこぎ棒で食材をすりつぶすときに、この溝が引っかかることで、しっかりとすることができます。

多くは陶器でできていますが、最近ではプラスチック製や、溝のないざらついた土の質感だけですれるタイプもあります。

昔から和食の調理に使われてきたすり鉢ですが、最近では小さいサイズのものも増え、100円ショップでも手に入るようになりました。

電動ミルやフードプロセッサーに比べると、少量でも扱いやすく、音が静かで、電源も必要ないという特徴があります。

一人分の料理には、大きな家電を使うほどでもないことも多く、そんなときにすり鉢は手軽に使える道具として見直されています。

今の暮らしですり鉢が役立つ場面

ごまをすって、風味をプラスする

すり鉢でいちばん多い使い方が、ごまをすることです。

市販のすりごまも便利ですが、すりたてのごまは香りがまったく違います

ほうれん草のごま和え、ごまドレッシング、ごま塩など、ちょっとした一人分の料理に、すりたてのごまを加えるだけで、いつもの味がぐっと豊かになります。

ごまは少量でも香りが立つので、一人暮らしの小さなすり鉢でちょうどよい量がすれます。

薬味やスパイスを細かくする

にんにく、しょうが、青じそ、花椒、粗びき胡椒、カルダモンなど、ホールのスパイスや薬味を細かくするときにも、すり鉢は使えます。

包丁で叩くよりも細かくなり、ミキサーを使うほどではない量のときに便利です。

スパイスを砕くと香りが一気に広がるので、カレーや麻婆豆腐などのエスニック系の料理にも活かせます。

とろろや味噌だれを少量だけ作る

長芋をすりおろしてから、すり鉢に入れて出汁や卵を混ぜれば、一人分のとろろが作れます。

また、味噌にすりごまや酢を混ぜて、簡単な味噌だれを作ることもできます。

すり鉢で作った調味料は、そのまま器として食卓に出せるので、洗い物も減らせます。

少量のドレッシングやペーストを作る

オリーブオイル、酢、塩、すりつぶしたにんにくや胡椒を合わせれば、手作りドレッシングができあがります。

また、ゆでた野菜と塩、オリーブオイルを混ぜて、ディップのようなペーストにすることもできます。

フードプロセッサーを出すほどではない量でも、すり鉢なら気軽に試せます。

すり鉢の選び方

サイズは手のひらサイズか、直径12〜15cmが使いやすい

一人暮らしであれば、直径10〜15cm程度のサイズがちょうどよいです。

手のひらサイズの小さなすり鉢は、ごま和え一人分やドレッシングを作るのに向いています。

とろろや味噌汁用の味噌を溶くなら、もう少し深さのある中サイズが使いやすいです。

大きすぎると収納場所を取りますし、すりこぎも長くなるので、初めて使うなら小〜中サイズから選ぶと失敗しません。

陶器製とプラスチック製、どちらを選ぶ?

陶器製のすり鉢は、重みがあってすりやすく、すり心地が滑らかです。

櫛目もしっかりしているので、ごまやスパイスなど、細かくすりつぶしたいものに向いています。

ただし、落とすと割れるため、扱いには注意が必要です。

一方、プラスチック製は軽くて扱いやすく、割れにくいので、収納場所が限られている賃貸住まいでも安心です。

陶器のような重厚感はありませんが、日常使いには十分です。

片口タイプなら、注ぎ口があって使いやすい

すり鉢には、注ぎ口がついた「片口タイプ」があります。

ドレッシングやたれを作ったあと、そのまま別の器に注げるので便利です。

器としてもそのまま食卓に出しやすい形なので、見た目を気にする人にも向いています。

溝のない萬古焼タイプもある

萬古焼という焼き物には、櫛目がなく、土のざらつきだけですれるタイプがあります。

細かい溝がないので、洗いやすく、乾きやすいという利点があります。

ただし、すり心地は櫛目タイプに比べると少し異なるため、店頭で触れる機会があれば、実際に確認してから選ぶとよいです。

使うときの注意点

濡れたふきんを敷いて、安定させる

すり鉢は、すりこぎでこすると動きやすいため、濡らして固く絞ったふきんを下に敷くと安定します。

滑り止めシートなどを使っても構いません。

すり鉢が動くと、力が分散してしまい、うまくすれないだけでなく、ケガにもつながるため、必ず固定してから使います。

すりこぎの持ち方にコツがある

すりこぎは、利き手で真ん中あたりを握り、反対の手を上に添えます。

上の手は固定したまま、真ん中を持った手で回すと、てこの原理で力が入りやすくなります。

すりこぎを垂直に立てるのではなく、少し斜めにして円を描くようにすると、効率よくすれます。

使う前に洗わない方がよい場合もある

ごまやスパイスなど、乾いたものをすりたい場合は、すり鉢を洗わずに乾いたまま使います。

水分が残っていると、ごまが貼りついてしまい、うまくすれません。

使う前に乾いたふきんで軽く拭いておくだけで十分です。

魚や肉など、においが気になるものをすった後は、しっかり洗って乾かしてから次に使います。

失敗しやすい使い方

すり鉢が小さすぎて、材料があふれる

ごまや薬味を多めにすろうとすると、すり鉢が小さすぎて材料があふれてしまうことがあります。

すり鉢の容量の半分以下の量で使うのが目安です。

もし量が多い場合は、数回に分けてすりましょう。

すりこぎで強く押しすぎてしまう

力を入れすぎると、すり鉢や手首に負担がかかります。

すりこぎは押しつけるのではなく、円を描くように回すことで、自然にすれていきます。

力を入れるよりも、リズムよく回す方がうまくいきます。

洗うときに熱湯をかけてしまう

たんぱく質の汚れ(魚や卵など)がついたすり鉢に熱湯をかけると、汚れが固まって落ちにくくなります。

水かぬるま湯で、タワシと中性洗剤を使ってやさしく洗います。

すり鉢が向いている人・向いていない人

向いている人

  • ごまや薬味を使った料理をよく作る人
  • 少量ずつ調味料を作りたい人
  • 電動ミルやフードプロセッサーを置く場所がない人
  • 調理の音を気にする人(夜遅く料理をする場合など)
  • 手を動かす調理が好きな人
  • 器としても使える道具が欲しい人

向いていない人

  • 時間をかけずに、とにかく早く調理したい人
  • 大量にペーストやドレッシングを作りたい人
  • 力をかける作業が難しい人
  • キッチン道具を増やしたくない人

すり鉢は、ていねいに手を動かして料理をする時間が好きな人に向いています。

一方で、時短第一の場合や、大量調理をする場合には、電動ミルやブレンダーの方が適しているかもしれません。

代用品や似た道具との違い

すりおろし器との違い

すりおろし器は、野菜や果物をすりおろすための道具です。

大根おろしや生姜のすりおろしには、すりおろし器の方が向いています。

すり鉢は、ごまや薬味を「つぶして混ぜる」ことが得意なので、用途が少し異なります。

フードプロセッサーとの違い

フードプロセッサーは、短時間で大量に食材を刻んだり混ぜたりできる道具です。

ただし、刃を洗う手間や収納場所、音などの問題があります。

すり鉢は、少量を静かに扱えて、洗いやすいという点で、一人暮らしには使いやすいです。

ミキサーとの違い

ミキサーは、液体と一緒に混ぜる料理(スムージーやポタージュなど)に向いています。

すり鉢は、液体がなくても使えるので、ごまやスパイスのように乾いたものを扱うときに便利です。

お手入れと保管方法

使い終わったら、すぐに洗う

すり鉢は、溝に食材が入り込みやすいため、使い終わったらすぐに洗うのが基本です。

時間が経つと、溝の中で汚れが固まってしまい、落としにくくなります。

タワシと中性洗剤で、溝に沿って洗う

タワシを使って、溝に沿うように洗います。

スポンジだと、溝の奥まで届かないことがあります。

汚れがひどいときは、爪楊枝を数本束ねて、溝の中をこすると取れやすくなります。

しっかり乾かしてから収納する

陶器製のすり鉢は、水分が残っているとカビやにおいの原因になるため、よく乾かしてから収納します。

風通しのよい場所で、伏せて乾かすと早く乾きます。

収納するときは、ほこりが溝に入らないように、伏せたまま保管するか、布をかけておくと安心です。

すりこぎも一緒に洗って、乾かす

すりこぎも、食材がついたまま放置すると、におい移りや変色の原因になります。

使ったら水で洗い、よく拭いてから立てて乾かします。

暮らしに取り入れるときの小さなコツ

最初は小さいサイズから試してみる

いきなり大きなすり鉢を買うと、収納に困ったり、持て余したりすることがあります。

まずは手のひらサイズの小さなすり鉢を試してみて、使い勝手を確かめてから、必要に応じてサイズを変えるとよいです。

使う場面を決めておく

「ごま和えを作るとき」「ドレッシングを作るとき」など、使う場面をあらかじめ決めておくと、自然と使う習慣がつきます。

道具は、使う場面が明確なほど、日常に定着しやすくなります。

器としても使えるデザインを選ぶ

片口タイプや、浅鉢のような形のすり鉢は、調理だけでなく、そのまま食卓に出しても違和感がありません。

「調理道具」と「器」を兼ねることで、収納場所も節約できます。

賃貸でも音を気にせず使える

電動ミキサーやフードプロセッサーは、夜遅い時間に使うと音が気になります。

すり鉢なら、音がほとんどしないので、時間を気にせず使えます。

夜に料理をすることが多い人にとっては、静かに使える道具として便利です。

まとめ

すり鉢は、昔ながらの道具ですが、一人暮らしの少量調理にこそ向いている道具です。

電源がいらず、音も静かで、器としても使えるため、場所を取らずに暮らしに取り入れられます。

ごまをすったり、薬味を細かくしたり、ドレッシングを作ったり、使い方は幅広く、ちょっとした一人分の料理にちょうどよいサイズ感が魅力です。

選ぶときは、直径10〜15cm程度の小〜中サイズ、陶器製かプラスチック製、片口タイプかどうかなど、自分の暮らし方に合ったものを選びます。

使い終わったら、溝に沿ってタワシで洗い、しっかり乾かしてから収納すると、長く使えます。

電動ミルやフードプロセッサーと違い、音が静かで、少量でも扱いやすいので、賃貸の一人暮らしや、夜遅くに料理をする人にも向いています。

一方で、時短第一の人や、大量に調理したい人には、電動の道具の方が適しているかもしれません。

すり鉢は、手を動かして、ていねいに料理をする時間が好きな人にとって、暮らしに静かに寄り添ってくれる道具です。

もし「ちょっとした一品に、香りのよいごま和えを作りたい」「フードプロセッサーを置く場所がない」と感じているなら、小さなすり鉢を一つ、試しに取り入れてみてはいかがでしょうか。